・コバヤシテツヤの全てが詰まっていると言える渾身の傑作

身も蓋もなく言うと妊婦がクイーンズブ⚪︎イドみたいな事をする格闘ゲームモチーフの話。 妊婦を闘技場で戦わせて見せ物にする非常にインモラルな設定だが、実態はややギャグの入ったコミカルなバトルものなのでノリは軽めで読後感も良い。 妊婦闘士は何人か死んでいるが、赤ん坊は無事なので安心して欲しい。 とは言えパッと見のビジュアルがまず妊婦なので、そもそもボテ腹ものに興味がないとか、妊婦が戦ってるのは倫理的に受け入れ難いとか言う人には全くもって向いていないので、表紙を見て引いた人にはお勧めできない。 逆に妊婦が好きでバトルものも好きだからお得だぜと言う人は是非手に取っていただきたい。 まず何と言ってもキャラクターデザインがどれもキャッチーで素晴らしく、見ているだけでも楽しい。 全編を通して設定、バトル描写、台詞など随所にパロディが散りばめられており、コミカルで可愛らしい絵柄と軽いノリでサクサク読める。 キャラクターが酷い目に遭うのがサービスシーンと言うか抜き所として描かれている作風でもあるので、所謂リョナ適正があるとより楽しめる。 エロ漫画でありつつもバトル漫画でもあるので、長尺で密度の高いエロ描写をじっくり読む構成にはなっておらず、楽しみ方としてはお色気漫画などに近いのではないかと思う。 バトルシーンもエロシーンもそれぞれ上手くまとまっており、満足の行く描写ではあるが、一つ一つのエロの尺は短め。 全編局部丸出しだし、エロ描写もかなりハードではあるが、お色気漫画のサービスシーンがずっと連続して流れてくるみたいな感じで、おかずとして使う場合は好きなカットを見定めて抜くスタイルになる人が多いのではないだろうか。 エロ漫画としてはやや独特なスタイルではないかと思うが、キャラクター描写が濃密となり、作品のコミカルさやキャラクターの愛嬌がより感じられる構成になっている。 キャッチーでコミカルなキャラクター描写は芳文社や秋田書店から出版されている著者の一般向け作品にも通ずる要素であり、著者の作品の魅力は正にこの点にあると思うのだが、本作はその魅力が遺憾無く発揮された傑作と言える。 バトル妊婦がイケる人は成人向け、一般向け問わず他のコバヤシテツヤ作品も楽しめるだろうし、二丁目路地裏探偵奇譚などの過去作のファンなら本作もグッと来る事請け合いなので、コバヤシテツヤファンは是非一読して欲しい。